効果的なプレゼンのコツ
7/8(火)に濱口秀司さんのZoomのセミナーに参加してきました。テーマはプレゼンを効果的にすすめるための方法論で、濱口さん自身の経験を踏まえてお話しいただく貴重な機会でした。
プレゼンの方法は、容易に学ぶ環境があります。
世の中にはたくさんの書籍があり、少し前からTEDのような素晴らしいプレゼンを気軽に動画で視聴する機会もあり、最近はZoomなどの普及によりオンラインでリアルタイムに著名人の講演を聞くこともできます。
それでも多くの人がプレゼンのやり方に苦労をし、膨大な資料を用意し準備をしたにも関わらず結局言いたいことがうまく伝わらず物事が進まない、という経験をした方は多いと思います。
今回は、濱口秀司さんがストーリーの組み立て方、質疑応答の対応などプレゼンをより良いものにするためのポイントを語ってくれましたのでご紹介します。
濱口さんをご存じない方は、shiftという書籍をお読みいただくとどういう方か理解できます。今ではあまり使われなくなりましたがUSBメモリのコンセプトを作ったり、多くのイノベーティブなサービスを作り出した全米で最高額のフィーを取れるコンサルタントです。
思考プロセスやイノベーションの起こし方を言語化させたら世の中に右に出る人はいないくらいすごい人です。
成功するプレゼンは、情熱、結論、階段ルールが必要
今回は、社内向けのプレゼン(部下が上司や役員などに報告をし、会社で意思決定をしたり、投資の承認を得たり、次の打ち手の了承を得るなどのシーン)でのプレゼンのやり方について、濱口さんの方法論が話されました。
成功する社内プレゼンの要素は
- 情熱を持つ
- ピラミッド型で話す
- 階段ルール
の3つです
情熱を持つというのは、自分が確信を持ちこれは正しいことだ!とか、絶対会社のためにやったほうがいい!この内容は面白い!と自分が思えないとその時点でプレゼンはうまく行かない、というものです。
これは当たり前ですが意外とできていないことも多いのではないでしょうか。
やはり、話すほうが確信を持っていないと聞いている相手にも容易に見抜かれてしまい、プレゼンどころではないというのは直感的にも理解いただけるかと思います。
ピラミッド型で話す
ピラミッド型というのは、バーバラ・ミントさんの著作などでも有名な論理構成をピラミッドにたとえ、頂上に結論、その下にそれを支える根拠、更にその下にその根拠をFactなどを用いて説明する、みたいなやつです。
結論を前に持ってくる
そして、良いプレゼンをするためには、結論を最初に持ってくることが重要と濱口さんは指摘します。
とにかく、結論や伝えたいことファースト。理由や根拠は最悪あとでもよく、何なら多少不備があったり最後にグダグダしたとしても、前半で結論について合意を得られていれば、理由はどうでもよく、とにかく伝えたいことを前に前に持ってくることを意識できればプレゼンの半分は成功したようなものです。
それでも結論を先に言えない理由
プレゼンにおいて結論を前に持ってくること、これはとても勇気がいることです。
なぜなら、よく考えられた結論であればあるほど、とてもシンプルな表現になることが多いからです。
そして、大勢の役員がいる前でプレゼンをするときに単純なことをいうと、バカにしているのか?と思われたり、何も考えていないのでは?と疑われることを恐れてしまいます。
結論が先に言えないとどうなるか
そのため、考え抜かれたわかりやすいシンプルな結論でももっともらしく理由をつけたり難しく見せようと体裁を整えるところからプレゼンの破綻が始まります。
結果、資料の枚数が増え、論理構成が話している本人もわからなくなるほど複雑になり、何を言いたいのかわからないプレゼンになってしまいます。
上記のようなことが要因で、多くのプレゼンにおいて、ピラミッドの頂点にある結論が最後に来てしまい、それがプレゼンをわかりにくくしていると濱口さんは指摘しています。
プレゼンは短いものだと5分程度から長いと30分以上一方的に話を聞くことになるので、その間に何が言いたいのか、が出てこないと聞いている方は耐えられません。
そのため、結論に行き着く前に「で、何が言いたいの?」とツッコミを受けたり、聞いている方の集中力が途切れ話を聞かず理解ができるところだけを資料から読み取って細部の議論になったり議論が横道に逸れてしまい、本来の目的と違う議論になったりすることは、皆さんの社内の会議でもあるのではないでしょうか。
それでも結論が最後にあればまだマシで、多くの日本企業で起こっているプレゼンは、頂点(結論)のない台形ピラミッドのようなプレゼンが圧倒的に多いようです。
それによって、台形の土台部分(事実やその会社で起こっていること)は正しく認識が得られても、結局次のどうすればいいの?という結論の部分がないため、せっかく色々話をしても何も進まない、ということになってしまうということは多々あります。
勇気を持ってシンプルな結論こそ先に言おう
日本には、起承転結という言葉に代表されるように結論は最後に、と学校の作文の授業とかで習ったことがある人も多いかもしれません。
その影響や日本人独特の空気を読みながら相手に配慮し丁寧に説明をするという気質のようなものも影響し、とかく結論を最後に持ってきがちです。
また、良い結論というのはシンプルなので言いにくいことであろうと、結局どこかでそのことを伝えないとプレゼンは成り立たないため、勇気を持って結論から入っていくことが重要です。
階段ルール ~一歩ずつ話を進める
階段ルールというのは、プレゼンをする際、聴衆とハンドシェイクをしながら一段ずつ階段を登るように説明を進めていくことです。
ハンドシェイクというのは、プレゼンターであるあなたが聴衆と握手(実際に手は握らないので合意するという意味ですね)しながらプレゼンを進めていくことです。
このハンドシェイクをするために最初は、誰でも納得できる明らかな事実から説明をするとよいです。極端な話、今日はX月X日です、とか、今日はXX回目の定例会議です。といった単純な事実でもよいですし、前期売上はXX億円で前年比XX%でした。といった社内の役員であれば誰でも知っている事実から入っていくのもよいです。
そうやって、合意を一つずつ取り付けたあとに、階段を登るように次のステップに進む。というのが良いプレゼンの進め方です。
これは、論理構成として既知の情報⇒未知の情報という説明したほうが、人は理解がしやすいからです。
ある程度知っていることから入ったほうが、人はその相手のことを信用して話を聞くモードになっていきます。
そうしていくうちに「で、次に言いたいことは何?」というように頭が徐々に話を興味を持って聞くモードになっていきます。これを作り出していきながら次のステップに進めます。
前の章で結論は前にもってこい、といったのですが、いきなり聞く側にとって初めて知る未知の結論を冒頭に持ってくると、頭が??となったり、なんでそんな事お前が決めるんだ!みたいに怒る人もいます。
前=冒頭ではないのでその点だけご注意ください。
合意と取り付けながら聴衆が飽きないうちに自分の言いたいことを持ってくる、というのがプレゼンでの進め方の極意になります。
プレゼンでの質疑応答の対処方法
プレゼンの途中でも遮って質問をされることがあると思います。その時の対処方法についても、セミナーでお話いただきました。
質問は即答せよ
結論からいうと、質問を受けたらその瞬間に脳をフル回転させ即答する、というのがベストです。
プレゼンターからすると本筋でないような横やりを入れられるといらっとすることもあるかもしれませんが、とにかく相手の?を少しでも解消しないとそのあとの話を聞くモードに人はなりません。
プレゼン中に複数回頭の中に疑問が生まれ「?」が3回くらい出てきたら、その人はもう話を聞くことはしてくれません。
みなさんも学生時代に授業中にわからないことが出てきたら、もう話を一切聞かず寝るか内職するかボーッとしてたと思います。それと同じことがたとえ給料をもらっている仕事上のプレゼンでも平気で起こりえます。
とにかく疑問が生まれないように、結論は早く伝え、ハンドシェイクをしながら話を進め、質問は即答する、ということを心がけていくことが重要です。
即答できない質問は、褒めて先に進む
それでも質問に答えることができないようなことが飛んできた場合、どうすればいいのでしょうか?
その場合、まずは相手を褒め称え「なるほど、それは素晴らしい質問です。ですが、その答えを今は持ち合わせていないため、まずはプレゼンを進めさせていただき頂いた質問はプレゼンの中でクリアされると思って最後まで聞いてください。」というようにとにかくプレゼンを進めさせてもらうよう許可を得て、質問はメモを取っておいて後で考えるのが良いようです。
プレゼンの内容に自信がありうまく最後まで進められれば、9割位の人は最初にした質問は忘れてしまうようです。
また、途中でその質問について思い出せれば、プレゼンの流れに逆らわないタイミングで答えてしまえばいいということです。質問は即答。答えられなければ相手を褒めたたえ、プレゼンを進めその後で答えるようにする。というのが良いようです。
最後に
濱口さんは、こういう思考や行動のプロセスを誰でもわかるような形で分解させる達人だと思いました。
他にもパワーポイントの使い方とか役立つTipsがあったのですが、それはまた別の機会に紹介したいと思います。
最後までお読みいいただきありがとうございました。