みなさん、こんにちは。IGAです。前回に引き続き、2×2マトリクスの中級編としてマトリクスをより効果的に使いこなすポイントを説明したいと思います。
今回は、ある程度2×2マトリクスを書けるようになってきた方が、よりビジネスの実践場でも使えるレベルに昇華させるためのコツをお伝えできればと思います。
2×2マトリクスがなぜうまく使えないか
頑張ってマトリクスで整理をしようとしていても、うまくできない場合も多くあります。2×2マトリクスの練習をしてみて自分なりに身につけられたと思えば実践をしたくなります。
そこで張り切って会議でホワイトボードの前に立って田の字を書いて整理をしようとしても、なんかうまく行かず結局議論が進まない、、という経験をしたことがある方もいるかも知れません。あるいは、資料の中にマトリクスの図を作り説明してみても相手がしっくり来ていないということもあるかもしれません。
どうしてそういうことが起こるのか?相手の理解度が極端に低いとそもそも2軸の時点で混乱する、ということもありますが多くの場合、作った側の問題です。
どういうことに気をつければいいのか例を説明したいと思います。
うまく行かないときは以下のようなことがあります。
マトリクスがうまく行かない理由
- 軸の選び方が違う
- 分類して終わる
- その場でいいものが思いつかない
軸の選び方が違う
決めたいこと、やりたいことに対して違う軸を選んでしまうと、当然しっくりこないものが出来上がります。
例えば、読みたい本を決めたいときに本を2軸で分類するとします。
このとき今日の空き時間で読む本を選ぶのか、来月にある長期休暇でガッツリ時間をとって読む本を選ぶのか、によって軸の選び方が変わります。
前者であれば、手持ちの本の中を選ぶことになるので、今持っていない本が軸になってくるものを選んだらだめです。
例えば、本の入手先(図書館か本屋か)などが軸にしても意味がないです。
後者は、本の分量・長さを軸にすると、長期休暇だからたくさん時間はあるだろう、となってしまい、軸で分類する意味がなくなってしまいます。
さすがに本を選ぶといった容易なものであればすぐに気づきますが、来年度の投資する領域を選ぶときに、どの軸で分類するのか、というのは投資によって何を得たいのかを事前に決めておかないと、選び方は容易に間違えます。
売上の効果、投資額の大小、実現性、市場や競合環境、リターンを得られる時期、色々あるので適切なものを選ぶことが大切です。
分類して終わる
他によくあるのは、分類をする目的がないと、ただ4象限に分けました。で終わってしまいます。
分けて整理をするとそれっぽく見えますが、大事なのはその後です。
マトリクスに分けて何をしたいのか、を明確にしないとなんか整理できたけど、何をしたいんだっけ?となってそこで前に進まなくなってしまうので、その整理を何のためにやるのか、ということを事前に考えてマトリクスを作成することが極めて重要です。
その場でいいものが思いつかない
会議で議論をしているときなど即興でマトリクスを作るときや、考える時間がなくその場で整理をする必要があるとき、どれだけその瞬間で筋の良いマトリクスを思いつくことができるかがポイントになります。
多くの場合は、軸を選ぶことが大切です。
テーマを聞いたときに分類に使える軸がどれだけ出てくるか、その中から適正なものをどうやって選ぶかが勝負になります。
軸をどうやって出すのか、というのは後述しますが、そのテーマの構成要素をいかに多く洗い出して、その中から重要なものに絞るという作業が必要になります。
2×2マトリクスを効果的に使いこなすコツ
失敗しがちな例を見てきましたが、ではどうすれば効果的にマトリクスを使いこなせるようになるのか、というポイントを見ていきたいと思います。
大きくは以下になります。
2×2マトリクスを使いこなすコツ
- 目的をはっきりさせる
- 軸となる候補をたくさん出す
- 独立した軸を選ぶ
- 分類の仕方を明確にする
- 4つとも埋められるテーマにする
目的をはっきりさせる
そもそもなんで4象限に分類をするのか、という目的を予め整理しておきましょう。
4つの中から優先順位を決めたいのか、
分類した項目ごとに打ち手を分けたいのか(例:人のタイプを分けてそれぞれごとにマネジメントのスタイルを変える)、
洗い出した項目に偏りがありそうだから他に重要なものがないか抜け漏れをチェックしたい、
などを事前に考えてからマトリクスを考え始めるとスムーズに進みます。
反対に目的がなくマトリクスを作ってしまうと、ただの分類に終わってしまうので、作りながら目的を決めて整理をすることを意識しましょう。
軸となる候補をたくさん出す
書いてみるとすぐに気づきますが、2×2マトリクスのポイントは軸の選択です。
軸が適切に選べさえすれば、あとは箱の中身は思いつくものを埋めればいいので簡単です。
ただ、この軸を選ぶというのが非常に難しく、慣れるまで時間がかかります。
ポイントは、テーマについての構成要素をいかにたくさん出せるか、です。
例えば、住む家を考える、というテーマだとしたら軸として思いつくのは、
物件のスペックに関すること(家賃、間取り、家の機能(風呂トイレ別)、収納スペースなど)
家の形態(マンションか戸建てかアパートか、)
周囲の環境(駅からの距離、通勤時間、治安、買い物などの利便性)
厳密に構造化されていたりMECEである必要はないのですが、パッと上記のようなことが思いつけるかどうかがポイントです。
多くの選択肢を出し、自分にとって大事になる2つで候補となる物件を分類してみると候補の絞り方が早くなると思います。
独立した軸を選ぶ
これは、書けばすぐに気づくことなのですが、例えば、バスケットボール部で新入部員を募集するときに、ターゲットとなる新入生を見つけよう!というときを例に取ります。
このときに、新入生を身長と体重で分類すると、身長の高いほうが体重が重いし、その逆もそうなので4つが埋まらなくなります。
2軸を身長と運動能力で分類して、背が高くて運動能力のある人を優先的に勧誘しようというように打ち手につながる分け方が必要です。
同じようにある程度相関があるものを選んでしまうと、4つが埋まらないということが起こってしまうので注意が必要です。
分類の仕方を明確にする
軸を分類する基準とは、例えば、お金なら高い・安いとか、料理なら和食・洋食などです。
分類する基準は、誰が見ても同じ解釈ができるものが良いです。
例えば昼食を2軸に分け軸の一つを金額にしたとき、高い・安いで分類すると500円でも高い、という人がいたり、2,000円くらいまでは許容範囲などという人もいますので、なるべく数字で置き換えられるものは数字で置きまえましょう。
また、和食と洋食に分類すると、中華はどうするんだ?とか和風ハンバーグは洋食か和食か?と多くの人が混乱して人によって分け方が変わってしまう場合があります。
その場合は、和食とそれ以外にする、ソースで分類するのではなくメインの食材と調理方法で分類するとか定義を決めておく必要があります。
定量化できるものは定量化しておく、定量化できないものは定義を決めておく、ということをするようにしましょう。
4つとも埋まるか
上記以外の注意点として、枠を設定したときに4つとも埋まるか、というのも重要です。
2軸ではなく1軸で整理できる場合は2軸にしないでいいですし、一つの箱だけ空欄になるときは、3つに分類すればいい場合もあります。
ただし、それでしっくりこないときは、軸の設定が良くないので見直しをしてみたほうがいいです。
2×2マトリクスの得意なことを知る
今回の文章の中で、目的が大事だと繰り返しお伝えしてきました。
目的がないと2×2マトリクスを作ってもただの整理にしかならず、打ち手になりません。
そこで、目的に叶う整理や分類ができるかどうかを判断するために2×2マトリクスの得意な領域をいくつか紹介したいと思います。
必ずしもこれだけではないので、自分で使いながらみなさん自身の活用の仕方を見つけてもらえればと思いますが、取っ掛かりとして参考になれば何よりです。
得意なこと① 優先順位を決める
4つに分類をしたあと、どの箱に入っているものを優先させるか?という使い方はかなり有効です。
ここで大事なのは、大体右上に来るもの(2軸とも高い)が最優先で、左下(2軸とも低い)が最もどうでもいいものになるのですが、右下と左上(どちらかの軸だけ高い)というものをどうするか?が重要です。
図でいうとBとCのどっちを優先させるかということです。(答えは前回のブログで)
優先順位を決めるときは、どちらの軸が重要かを決めることと同義といっても差し支えないと思います。
得意なこと② 外れ値を見つけ、ヒントを得る
2軸の選び方で、相関するものを選ばないほうがいい、ということを伝えました。
しかし、あえて相関するものを軸に選ぶと外れ値になるものが出てきます。
たとえば、社員の労働時間と生産量という2軸で社員のパフォーマンスを測るとします。
普通は時間をかける人であればあるほど生産量は高いのですが、たまに短時間でも生産量が高い人や長時間労働なのに生産量が低い人が見つかります。
こういう、外れ値になる人がどういう働き方をしているのかを分析すると他の人にも適用できるやり方なのか?とか次のアクションにつながっていくため有効です。
得意なこと③ 4つの分類ごとに打ち手を分ける
様々な特徴を持つものに対して、全体で同じ打ち手をしても意味がないし、かといって個別対応をしていても回らない。
というときに2×2マトリクスで分類すると有効なケースがあります。
たとえば、部下に対するマネジメントなどです。
部下が1人しかいないという場合は、個別対応でいいですが、5人以上になったり、会社で人事制度や研修内容を考えるときなどは同じプログラムを適用してもうまく行かないと思います。
そういう場合は、パフォーマンスの高・低とモチベーションの高・低を2軸に4つに分類してそれぞれの箱ごとに対応を変えるなどすると効果的です。
まとめ できるようには練習あるのみ!
今回は、マトリクスをうまく活用するためのポイントや陥りがちな罠について記載しました。
これらを理解して、一日数個のマトリクスを練習するだけでなく、実際のビジネスでもどんどん使って複雑な事象を整理できるビジネスパーソンに成長するきっかけになれば何よりです。
今回は、赤羽雄二さんの著作「ゼロ秒思考 行動編」をもとに、私自身が仕事で2×2マトリクスを使って経験した知見を文章にしています。
ステマみたいですが、2×2マトリクスの他にも、オプション評価や他のフレームワークなどにも言及をしているので、まだ読んだことない方はぜひ読んでみてください!