ビジネススキル 書評

【書評】人を動かす話し方~話し方ではなく生き方を問う

今日は、赤羽雄二さんの新刊である「人を動かす話し方」を紹介します。

赤羽雄二さんはこのブログでも紹介しているゼロ秒思考の著者であり、マッキンゼー出身で現在も大企業からベンチャーの経営改革を支援されている現役のコンサルタントです。
コンサルタントとして多くの成果を上げていった中で、人を動かして成果を上げるための具体的なノウハウを伝えています。

目次

 

この本は話し方ではなく、仕事の進め方の本

この本のタイトルは「人を動かす」話し方です。

話すことで人を動かし、仕事の成果を出すためにどうすればいいかということを解説しています。

話し方の本ですが、いわゆるプレゼンやスピーチのやり方を書いてあるわけではありません。
また、交渉術のような人を説得するためのノウハウが書いてあるものでもありません。
表面的なテクニックだけでは仕事の結果は絶対出ません。
もちろん、プレゼンがうまかったり相手の気持を読んで的確な伝え方ができるに越したことはないのですが、私も含めた凡人がテクニックを駆使することは難しいです。

この本には、仕事で周囲を巻き込んで成果を出すための具体的な方法論が書かれています。
この本に書かれていることを実行していけば、確実に成果が出せるようになります。直ぐに結果が出なくても、徐々に事態が好転していくことが体感できる名著です。

こんな方におすすめ

  • 仕事で成果を出したいビジネスパーソン
  • 仕事/プライベートに関わらず周囲の人と協力して何かを進める人
  • 自分は頑張っているつもりだが、周囲の環境が悪く結果が出ないと悩んでいる人

 

なぜ仕事の成果が出ないのか

多くの人は自分がやる仕事に対して成果を出したいと考えています。
ただ、その成果が簡単に出ないから悩みます。
「それができれば苦労しないよ。」という言葉を吐いたことは一度や二度ではない方も多いでしょう。

仕事の成果が出ない要因として、自分は頑張っているのに周囲が思ったように協力をしてくれない、動いてくれると約束をしてくれた人が思ったとおりに仕事をやってくれなかった、という経験をした方も多いと思います。

ほとんどの人は、自分が社長や上司、他人から指示をされてもすべてを完璧にこなすことはできていないです。
適当に取捨選択をしてやらないこともあります。
それなのに、何故か自分が他人に依頼することは完璧にやってもらえる、と思い込んでしまいます。

その矛盾が成果を出すことを妨げる、と赤羽さんは言います。
人や組織がどういうときに動いてどういうときに動かないのか?ということを考えて普段から行動することが重要です。
そのためには、3つのプロセスが必要です。

人を動かし成果を出すための3つのプロセス

人や組織を巻き込みやりたいことを進め、成果を出すには、3つのことが必要です。

その3つとは仕込み、仕切り、仕上げです。

①仕込み~話す前に勝負は決まっている

仕込みは、準備のことです。料理の仕込みと同じです。
美味しい料理を作るのに良い素材を仕入れる、下処理を丁寧にする、普段から道具を磨いておく、などの準備が必要です。

仕事も同じです。
仕事に必要な情報を普段から入手しておく、情報をもとに自分の考えを普段から持っておく、いざ人に協力を依頼しても快く引き受けてもらうために日頃の人間関係を大事にしておく、などのことが大事です。
本書にはその具体的なノウハウが書れています。

重要なのは、普段から相手の期待を少しでいいので超えるような成果を上げることです。
期待値を超えるための頑張り方だけでなく、信頼関係の気づき方の工夫についても書かれています。

日頃から信頼関係があれば、多少無理なお願いでも協力をしてもらえる可能性は高いです。

ぜひ本書で信頼獲得のやり方を学びましょう!

②相手を味方につける仕切り

仕切りとは、実際に相手に話をするときの振る舞い方、です。
1対1で説得をするときも、会議なので複数人に説明をするときも基本的な考え方は同じです。

大事なのは、いかにして相手を味方につけるか、です。

相手を味方にするには、ロジックで論破し自らの正当性を説明することでも、自分の熱い思いを一方的に伝え強引に説得することでもありません。
綿密な準備で非の打ち所のないロジックをつくることも大事です。
ただし正論だけでは相手は動きません。
また論理性をないがしろにし、とにかく自分がこれをやりたいんだ!という熱い思いだけで一方的に説得をしても相手は動きません。

あくまでも相手の話を丁寧に聞き、相手の置かれた状況を理解し共感をすることです。
そして、相手に寄り添い、相手が実行できそうな実現可能な方法を示すことで納得をしてもらうことです。

仕切りの場では、とにかく一人でも多くの人を味方につけることが重要です。

信頼を得るために相手の話をよく聞き、質問は即座に返し、決して相手を論破することなく共感/納得をしてもらうために全力を尽くしましょう。

③相手が動かないのは仕上げをしないから

万全の準備をし、相手に共感を示し納得をしてもらえたらそれで終わりではありません。

最後の仕上げが非常に重要です。

どんなに美味しい料理を作っても、盛り付けが雑、皿や座席が汚れている、食器がないと気持ちよく食べてもらえません。
同様に、納得をして約束をしてもらったあとのフォローが極めて重要です。

とにかく、そんなことまでやるのか?ということを徹底的にやり抜きましょう。神は細部に宿ります。

料理に例えると、皿に取り分けて配膳をすれば全員が食べると思ったら大間違いです。
その場でおだてて口を開けさせ、食べやすい大きさに持っていって口に運び、食べたら褒める。赤ん坊に離乳食を与えるようなプロセスまで実行するのです。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」という山本五十六の名言がありますが、成果を出すためには、そこまでやるのです。

バカバカしいと思うのは自由ですが、人はそこまでしないと動きません。
バカバカしいと思うだけ時間の無駄です。
どうせそこまでやらないと成果は出ません。すべては成果を出すためです。

そこまでやるの?、ということをやっていればそれを見てくれている人は必ずいます。自分の姿勢を示すことで、味方になってくれる人はどこかに必ずいます。一人でも多くの人を味方につけ、成果を出すために徹底的にやるということを今日から始めましょう。

結局自分がどうしたいか、がすべて

この本に書いてあることは、周囲を巻き込みながらどう仕事を進めるのか、そのコツです。

成果を出すためには、普段からどんな準備をして、自分がどこまで何をやりきるのか、これだけで決まります。

もちろん自分がコントロールできず影響を受けてしまうことは多くありますが、それを言い訳にしても結果は何も変わりません。

つまるところ、自分がどうしたいのか?ということが問われます。

表面的な仕切りをして、後の結果は他人がやってくれるかどうか運任せにするのか。
準備から最後の結果につながるところまで脇目も振らず走りながらあらゆる手を尽くすところまでやりきるのか、全ては自分次第です。

やるか、やらないか

赤羽さんの本に共通しているのは、やり方が具体的で誰でもできる具体的なノウハウに落とし込まれていることです。

ゼロ秒思考は、とにかくA4の紙に思いついたことを書く、それだけです。誰でもできます。
アクティブリスニングは、人の話をとにかく真剣に聞く、ただそれだけです。
他にも、毎日Googleアラートを登録して情報収集をする、単語登録を100以上やってタイピングのスピードを上げる、など一つ一つを取ってみると誰でもできることばかりです。

ただ、正論だからこその難しさはあると思います。
例えば、ダイエットだって食事を制限して運動すれば誰でもある程度痩せます。しかし、それを実行するのは極めて難しいです。
目の前の誘惑に意志だけでは勝てません。

だからこそ、実行できるシンプルな仕組みにして習慣化する、苦しいときは仲間の力を借りて支えを得る、やることを周囲に発信して外圧をかける、などの工夫が必要です。

多くの人が実行できるような、具体的なノウハウは本に書いてあります。それを1000円ちょっとのお金と本を読み切る数時間の時間で誰でも手に入れられます。

ただ、そのノウハウを実行するかどうか、はあなたにかかっています。さて、あなたはどうしますか?

結局、この本で書いてあることは集約するとこの一言に付きます。

 

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