書評

【書評】スイッチ!「変われない」を変える方法

人や組織を変革したいという人向けの実践書

スイッチ!「変われない」を変える方法という本は、ハース兄弟というベストセラー作家が書いた本で、10ヶ月以上に渡りニューヨークタイムズのベストセラー・リスト入りを果たした人気作です。

人間や組織が変わるためには、どういうことが必要かということを豊富な事例とともに紹介しています。

この本は、個人として行動を変えたいと、自分のチームをより望ましい行動をするよう導きたいマネージャー、会社の中で経営改革を起こしたいと考えている経営者/管理者などに向けておすすめできる書籍です。

この書籍であげられている事例は、全て海外の例ですが、とてもわかりやすく納得できるものが多く、この本のエッセンスを個人や組織に当てはめてることができれば、きっとより良い方向に変革を起こすことが可能だ、と思えるような内容が記載されています。

 

なぜ人は変わらないのか

なぜ人は変わらないのかというテーマは、壮大ですが多くの人が直面する悩みだと思います。

しかし、残念ながらどんなにいいアドバイスをしても、強大な権力で命令をしても本当に他人の行動を変えたり、考え方を変えることは無理です。

「嫌われる勇気」で有名なアドラー先生も、馬を水飲み場につれていくことはできても水を飲ますことはできない、と他人を変える難しさを例えています。

なので、他人を変えよう、ということは諦めたほうがいいです。

この書籍は、人や組織の行動を変えることについて書いてありますが、強大な権力で強制させろとか膨大な投資で環境を変えろとか心に刺さるありがたいアドバイスをしろ、とは一言も書いてありません。

そういう一見すると正攻法に見えるやり方や、理論的に正しそうな主張で相手を説得することを全否定し、ちょっとした、でも知恵を凝らした工夫をすることで、変化を簡単に起こすことができると主張しています。

人を変えようと思って行動をするのではなく、ある工夫をこらすことで起こせる変化について語っています。

 

組織や人を動かして成果を出すためには

では、その工夫とはなにかというと、変化を起こすためには、感情と理性と環境に働きかけることが重要だと主張をしています。

それらを感情を象に理性を象使いに環境を道筋に例え、象使いが象に働きかけ、象が進みやすい道筋を進むことでゴールに達成できるという説明をしてます。

何かを変えようとしてもうまく行かないのは、人のなかで「象(感情)」と「象使い(理性)」が戦っているからだと説明しています。

怠け者で気まぐれだけれど、エネルギーのみなもとになる「象」。計画的なリーダーだけれど、頭でっかちで空回りすることもある「象使い」。

そしてそこを進むための道筋を整えるためのちょっとした工夫で、大きな変革を起こすことができます。

 

象使いを動かすには、明確な指示を与えよう!

この本で書かれている象使いは理性です。

理性は、短期的な欲望よりも中長期的な計画や目標を優先させることができます。

ただし、人が理性を発揮させるには、体調が万全で頭がクリアになっていること(疲れるとどうしても判断力が鈍りますよね)、進むべき方向や自分がやることが明確になっていること(選択肢が多すぎると人は迷って判断ができなくなる)などが必要です。

理性が働けば理想的な行動が取れますが、理性が感情をコントロールできる条件は極めて限定的です。

象使いという理性をうまく働かすために、どういうことが必要なのか、については本書を読んでいただければわかりますが、ここではキーワードと概要を紹介します。

 

象使いを動かすために

  • ブライトスポットを手本にする
  • スタートとゴールを明確にする
  • 一歩目を動かす台本を書く

ブライトスポットというのは、うまくいってない施策の中でも例外的にできている成功パターンを見つけることです。

例えば、禁酒にトライしている人が欲望に負けて毎日お酒を飲んでしまっているとします。でもある条件の日だけはお酒を控えることができているとしたら、、、その条件が再現できるような状況を作り出すことで今以上に禁酒がやりやすくなるはずです。

スタートとゴールを明確にする、というのは、そのままなのですが、象使いはどこから始まりどこに向かうべきなのか、を明確にすればするほど動きやすい性質があります。

そしてそのために何をするのかというシンプルな指示をすることが重要です。

複雑な指示では何をやったらいいのかわからなくなるので多くの象使いは混乱します。具体的な事例はぜひ書籍を読んでもらいたいですが、明確なゴールとシンプルな指示で物事を動かしましょう!ということです。

 

象を動かすには、自信とやる気を与えよう!

象は、感情を司ることの例えです。

感情はゆらぎやすいですが、何かを推進するためのエネルギーになります。

人が何かに対して動くのは理屈ではなく感情だ。と言われれば納得する方も多いと思います。

そのくらい感情を味方につけることがとても重要で、そのために何をするのか、が書かれています。

ただ、このパートに関しては、この書籍が出たあといろいろな社会学や心理学の研究やビジネスでの成功事例が多くでているので、サラッと読めば良いと感じています。

まずはやる気にさせるために感情を芽生えさせ、小さな成功体験を積ませ、大きな目標を細かいプロセスに分解し、できたことを素直に褒めてその行動を継続できるようにする。

ということなので、言われればそりゃそうだ。と思った方は飛ばし読みでいいですし、この文章に対して頭の中が「!」となった人は丁寧に読むと様々な具体例とともに楽しめると思います。

 

道筋を描くには、環境を変えよう!

理性と感情をうまく融合できれば、それがやりやすい環境を整えることが最後の道筋を描くということです。

このパートは私は一番参考になりました。

このパートを一言で伝えると「個人の性格は環境には勝てない」ということです。

世界的に有名なコンサルタントの大前研一さんも人が変わるには付き合う人、住む場所、時間の使い方を変えることだ。最も愚かなのは決意を新たにすることだ。と言っています。

決意は性格ではないのですが、自分が変わりたければ環境を変えろ、ということは伝わると思います。

この本では、コミュニケーションに課題のある組織のボスの個室にある家具の配置を変えただけで、ボスの部屋に気軽に部下が訪れて会話をしやすくなり組織全体のコミュニケーションが円滑になったとか、あるサービス会社で自動応答システムを廃止しただけで社員が電話を取るようになり顧客の声を直接聞くことでサービスが劇的に改善したとか、いろいろな例が載っています。

すべてをそのまま適用することはできなくても一部を真似することはすぐにでもできそうな事例が多くあり参考になると思います。

 

スイッチを押し、てこのように小さな力で大きなものを動かそう!

象使いに指示を明示し、象に働きかけ道筋を整えるプロセスは、膨大なお金が必要でもなければ、経営者や国のリーダーのように組織の中で絶対的な権限をもつ必要はありません。

一市民が、一般社員が、飛び抜けた才能があるわけではない普通の人が、ちょっとした工夫で働きかけることで自分を変え、周囲を変え、大きな組織に変革を起こすことができる

そんな夢のようなことがやり方次第で自分でも起こせる!そういう気にさせてくれる本です。

その気にさせるだけでなく、具体的な例が多く載っているので、行動を起こすきっかけを与えてくれる本です。

象と象使いに働きかけて、てこのように小さな力で大きなものを動かす、そういう経験をするための第一歩を踏み出すために背中を押してくれる本です。

 

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