みなさん、こんにちは。IGAです。
本日は、スーザン・ケインという方の内向型人間の時代という書籍を紹介します。
人を内向型/外向型と分けたときに、外向型のほうがより優れた人間だと思っている方はいないでしょうか。
表立ってリーダーシップを取り、組織の中心で活躍する人材には外向型の人間が多く、内向型は消極的というようなイメージがある方は多いと思います。
とくに自分が内向型と自覚している方は、外交的に振る舞える人に対してコンプレックスを持っていたり、自信がなかったりするかも知れません。
実は、世の中のビジネスリーダーや偉大な業績を成し遂げた人の中には内向型の方々も多くいます。
この本では、内向型の人間にフォーカスを当てて、内向型の人間の良さやこれからの時代に求められる内向型人間の特性について紹介をしています。
内向型の特性と長所
内向型の方は、内面に目を向け、思慮深く、一つの物事を深く掘り下げることができるという特性があります。
世の中が複雑になり、簡単に答えを出せない時代だからこそ、内向型の特性が生きる場面は多いです。
本書では、様々な内向的な特性を生かして活躍をしている例が記載されています。
たとえば、金融危機の中でも冷静に投資判断を行い成功したウォーレン・バフェットなどです。
また、優れた内向型人間の例だけではなく、組織の役割などの例も紹介されています。
外向型が好みそうなオープンオフィスと内向型が好みそうな個人ごとに閉ざされたクローズな個室型のオフィスではどちらが生産性が高いか、という実験がそれに当たります。
実はオープンオフィスのように広い空間で多くの人と接する場合、個人でやる作業の生産性は下がります。
内向型の人間は特にそうですが、一人になる空間・時間の中でとても高い生産性を発揮しますので、あまりオープンオフィスでの仕事というのは生産性を高めることにはつながらないようです。
また、ブレーンストーミングのように多くの人と議論をする場合と個人でアイディアを考えた場合の比較の実験も紹介されています。
同じ時間ブレストをやる場合と個人でアイディアを考える場合、個人でアイディアを出すほうが優れています。
もちろん、外向型人間の良さは、多くあります。
人と活発にコミュニケーションをとることを厭わず、より幅広くいろいろなことに関心を持ち、方向性が定まったときの推進力は素晴らしいです。
ただ、これまで(特に著者のいるアメリカ社会では)は外向型の特性ばかりが、優れた人の特性という扱いを受けていました。
この考え方に疑問を投げかけ、内向型の良さや内向型が生きる背景を説明したところにこの本の価値があります。
自分が内向型かどうかの判断基準
自分が内向型かどうかは、本書にあるテストをやるとわかります。
テストは以下のようなものです。
内向型の診断テスト
- グループよりも一対一の会話を好む ☓
- 文章のほうが自分を表現しやすいことが多い ○
- 一人でいる時間を楽しめる。 ○
- 周りに比べて、他人の財産や名誉や地位にそれほど興味がないようだ。 ○
- 内容のない世間話は好きではないが、関心のある話題について深く話し合うのが好きだ。○
- 聞き上手だと言われる。 ☓
- 大きなリスクは冒さない。 ☓
- 邪魔されずに「没頭できる」仕事が好きだ。 ○
- 誕生日はごく親しい友人ひとりか二人で、あるいは家族だけで祝いたい。 ☓
- 「物静かだ」「落ち着いている」と言われる。 ○
- 仕事や作品が完成するまで、他人に見せたり意見を求めたりしない。 ☓
- 他人と衝突するのは嫌いだ。 ○
- 独力での作業で最大限に実力を発揮する。 ☓
- 考えてから話す傾向がある。 ☓
- 外出して活動したあとは、たとえそれが楽しい体験であっても、消耗したと感じる。 ☓
- かかってきた電話をボイスメールに回すことがある。 ○
- もしどちらか選べと言うなら、忙しすぎる週末より何もすることがない週末を選ぶ。 ○
- 一度に複数のことをするのは楽しめない。 ○
- 集中するのは簡単だ。 ○
- 授業を受けるとき、セミナーよりも講義形式が好きだ。 ☓
※内向型人間の時代 P19-20より抜粋
いかがだったでしょうか。
○が多いほうが、内向型の特性が強いということになります。
○☓は、私の回答です。私は、○が20個中11個だったので、中間ですね。
内向型が外向型に振る舞うときの注意点
内向型人間には、外向型とは異なる点で、優れた特性があります。
とはいえ、何かの目的を果たすときには、外向的に振る舞ったほうが有利になる場面はゼロではありません。
もちろん逆もあります。
本書では、内向型の人間が、何かを成功させるために意図的に外向的に振る舞って成功している例も紹介されています。
内向型の人間が、どうしても大事なプロジェクトでプレゼンをしないといけないときは、意図的に外向的なプレゼンを演じる、などです。
プレゼンテーションやパーティなどの社交的な場、強くリーダーシップを取って周囲を引っ張っていく場面など、外向的な特性が生かされる場面は多くあります。
そういうときは、内向型でも外向的に振る舞う必要があり、どうバランスを取るのかということについてヒントが示されています。
それは、自由特性という考え方で説明されます。
自由特性とは、人は特定の性格特性を持って生まれるが、自分にとって重要な事柄(コア・パーソナル・プロジェクト)に従事する時、その特性の枠を超えて振る舞うことができる
というものです。
個人のもともと持っている特性を無視してその場面で求められるふさわしい振る舞いをする。ということです。
内向型か外向型かというのは、人にもともと備わっている資質や特性ですが、それを逆にとって、なにか大きな目的を果たすときの手段として使う、ということです。
ここでのポイントは、
- 自分にとって重要な事柄が何かを見極め、その場面では自分の特性に関わらず振る舞う
- 必ず自分本来の特性として振る舞える時間を確保しておく
というものです。
後者は、特に長く自分らし来るためには重要です。
内向型の人は、自分が一人になり思索にふける時間を、外向型の人は多くの友人達と気のおけない冗談を言い合いながら過ごす時間を確保しましょう。
異なる特性の人間と向き合うには
内向型の人間が営業として成功している、という例が本書に出てきます。
内向型の人間のほうが、一人の顧客に対して向き合い、状況をよく顧客から聞き出し、適切な提案を考えることに向いているからです。
外向型の人間は、社交的ではありますが、広く多くの人と付き合うことを好むので、求められる営業のパターンによっては、実は向かない場合もあります。
コンサルティング営業など、相手の話を真剣に聞いて信頼を得るところからスタートをする場合などは、外向的である必要はありません。
アクティブ・リスニングを全力でやれば、内向だろうが外向だろうが関係なくうまくいきます。
これは、営業のように対クライアントに限らず、全ての人間関係において言えると思います。
特に自分の資質とは、逆の人間に対してうまくやるためには、相手を尊重し信頼関係を気づくことが重要です。
そのための基本的なスタンスは、相手の話を真剣に聞いて理解をすることです。
内向・外向というのは、本人の持っている特性であり、優劣はありません。
どちらも素晴らしい特性があります。
その素晴らしさをお互いに理解して、それぞれが自分らしく振る舞えるような関係性を気づくことがとても重要だ、という小学校の校長先生が朝礼でいうような当たり障りのない正論で締めくくり申し訳ないです。
私は、内向型でも外向型でもない中間の資質を持っているようですが、どちらか一方からの視点を見ることで、両方の資質の良さに気づかせてくれた一冊でした。